習志野市藤崎の学習塾

新・個別指導Assist(アシスト)習志野

前回の記事では、定期テスト対策において「教科書をきれいにまとめる」よりも、答えを見ずに自力で解く「思い出す練習(検索練習)」が有効であることについて解説しました。

では、その「思い出す練習」は、いつ、何回くらい行えばよいのでしょうか。 「テスト前日は、同じワークを(間違えた問題にしぼって)1日で3周しよう」といった目標を立てる生徒さんもいますが、学習科学の視点から見ると、復習は「回数」だけでなく「タイミング」が非常に重要であることが分かっています。

本記事では、効率的な復習のタイミングと、テスト前の学習計画の立て方について解説します。

1. 「同じ日に何度も繰り返す」ことの限界

少し前に放送された学園ドラマで、「1回だけ勉強した人と2回やった人では差があったものの、その後は何回繰り返してもあまり変わらなかった」という趣旨の説明がありました。これを聞いて、「では、復習は2回やれば十分なの?」「3回以上の復習には意味がないの?」と受け取った方もいるかもしれません。

この説明とよく似た結果を示した研究として、アムルンド(Amlund)らによる1986年の研究があります。この実験では、大学院生に同じ文章を「1回」「2回」「3回」と読ませて記憶の定着を比較しました。その結果、1回より2回読んだグループは成績が良かったものの、2回読んだ場合に比べ、3回目の追加再読による明確な上積みは見られませんでした。

同じ内容をその場で連続して読み返す「集中再読」については、回数を増やしても追加の学習効果が次第に小さくなる傾向が、複数の研究で報告されています。 ただし、これらは「その場で連続して繰り返した場合」の研究です。日を空けて行う3回目、4回目の復習まで効果が小さいという意味ではありません。

2. 学習効果を高める「分散学習」とは

では、時間を空けると記憶はどうなるのでしょうか。2005年のローソンとキンチュ(Rawson & Kintsch)の実験では、大学生に文章を「続けて2回読む」グループと「1週間空けて2回読む」グループに分けて比較しました。直後のテストでは続けて読んだグループに利点が見られましたが、時間が経過するとその利点は失われ、1週間空けて読んだグループの方が記憶を保ちやすい結果が示されました。

このように、一度にまとめて学習を終わらせるのではなく、一定の間隔を空けて複数回に分けて取り組む方法を「分散学習(Spaced Practice)」と呼びます。

2013年の大規模な学習法レビュー(ダンロスキーら)でも分散学習は高く評価されており、同じ内容に複数回取り組むのであれば、一度にまとめて行うより、時間を空けた方が長期的な記憶に残りやすいことが多くの研究で確認されています。

3. 長時間学習の日は「1科目に固めすぎない」

分散学習とは少し別の話になりますが、休日や季節講習など、長時間学習する日には「一つの科目に時間を集中させすぎない」ことも、当塾では重視しています。

休日になると「今日は数学の日として、5時間連続で数学のワークを進めよう」と計画する生徒さんがいます。本人は「数学をたくさん勉強した」という充実感を得られますが、当塾で日々生徒たちの学習の様子を見ていると、同じ科目を長時間続けた場合、最初の1〜2時間と比べて後半は問題を進めるペースが落ち、ミスの割合が増えやすくなる傾向が観察されます。

そのため当塾では、長時間学習する日は途中で別の科目を挟んだり、続きを翌日に回したりすることを勧めています。

4. 中学生が実践しやすいテスト勉強のルール

つまり、「ワークは1日に何周すればよい」と一律に回数を決めるより、一度解いた内容に時間を空けて再び戻ることを考えた方が重要です。

こうした学習科学の知見と塾での指導経験を踏まえ、中学生が日々のテスト対策に取り入れやすい具体的なルールを3つ紹介します。

  • ① 長時間勉強する日は、1科目だけに固めすぎない
    休日やテスト直前など、まとまった学習時間が取れる日に「今日は数学だけ」と一つの科目に時間を集中させすぎるより、複数科目に分けることをおすすめします。

  • ② 間違えた問題は、まず「翌日」を目安にもう一度解く
    復習の最適な間隔は内容やテストまでの日数によって変わりますが、中学生が実践しやすいルールとして、当塾ではまず「翌日もう一度」を意識することをおすすめしています。

  • ③ 一度解いて終わりにせず、数日後にも戻ってくる
    テスト2週間前に一度解いただけで、その後まったく触れなければ、テスト本番までに忘れてしまう内容も少なくありません。数日後にもう一度同じ単元に戻り、自力で思い出せるかを確認します。

5. まとめ:回数ではなく「いつ思い出すか」を意識する

定期テストの点数を上げるためには、「同じ日に何周したか」という回数や長時間の勉強量だけで安心せず、「時間を空けて、自力で思い出せるか」を確認する手順が不可欠です。

毎日の学習の中に、短い時間でも「昨日の復習」を組み込むことから始めてみてください。

【参考文献】

  • Amlund, J. T., Kardash, C. A. M., & Kulhavy, R. W. (1986). Repetitive Reading and Recall of Expository Text. Reading Research Quarterly, 21(1), 49-58.

  • Rawson, K. A., & Kintsch, W. (2005). Rereading Effects Depend on Time of Test. Journal of Educational Psychology, 97(1), 70–80.

  • Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed Practice in Verbal Recall Tasks: A Review and Quantitative Synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.

  • Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4–58.

定期テスト前になると、教科書や授業プリントを読み直し、きれいな「まとめノート」を一から作り始める中学生は多いのではないでしょうか。しかし、テスト直前に「まとめるだけ」で終わってしまう学習スタイルは、学習効率が上がりにくいことが指摘されています。

本記事では、学習科学の知見を踏まえ、定期テストに向けて、中学生が実践しやすい効果的な復習法について解説します。

1. 「まとめる」学習と「思い出す」学習の比較

教材をまとめる学習について、2011年にジェフリー・カーピッケ(Jeffrey D. Karpicke)博士らが行った興味深い実験があります。学生たちに科学の文章を学習させた後、以下の4つのグループに分けて1週間後のテスト成績を比較しました。

  1. 1回だけ読む

  2. 同じ文章を4回連続して読む

  3. 文章を見ながら、概念同士の関係を図で整理する「コンセプトマップ」を作る

  4. 文章を隠して、自力で内容を「思い出す(検索練習)」

結果として、テストの成績が最も良かったのは「4. 自力で思い出す」グループでした。 「3. コンセプトマップを作る」は、中学生が一般に作る「まとめノート」そのものを調べた実験ではありませんが、教材を見ながら情報を整理する学習と、教材を閉じて記憶から取り出す学習を比較した研究として非常に参考になります。また、同じ文章を4回連続して読んだグループよりも、「思い出す」練習を行ったグループの方が1週間後の成績は高くなりました。少なくとも、同じ文章をその場で何度も読み返すことだけが、効率のよい復習とは言えないことが分かります。

2. なぜ「直前のノート作り」は得点に結びつきにくいのか

なぜ、ノートをきれいにまとめても点数が上がりにくいのでしょうか。それは、教科書やノートを見ながら整理している間は、答えとなる情報が目の前にあるため、「記憶から自力で取り出す」練習になりにくいからです。

ノートをまとめること自体が悪いわけではありません。しかし、テスト直前に一から作り始めるのは、例えるなら「テスト前に自分の部屋の掃除を始める」のと同じです。作業の充実感は得られますが、直接的な得点力には結びつきにくいと言えます。

3. 学習科学が推奨する「検索練習」

2013年に発表された学習法に関する大規模な研究レビュー(ダンロスキーら)でも、「検索練習(自力で思い出す)」と「分散学習(一度にまとめて終わらせず、時間を空けて複数回取り組む)」が高い有用性を持つと評価されています。

本記事では、このうち定期テスト前にすぐ実践しやすい「検索練習」に注目します。 当塾ではこの知見に基づき、ノートにまとめる作業(インプット)は知識を整理するために普段の授業中や授業後に行い、テスト直前は自力で答えを出せるか確認する作業(アウトプット)に時間を割くべきと考えています。

4. 特別な勉強法は不要。「いつものワーク」を活用する

「思い出す練習(アクティブ・リコール)」と聞くと、何か特別な勉強法のように感じるかもしれません。しかし、中学生の定期テスト対策なら難しく考える必要はありません。いつも使っている学校ワークや問題集を、答えや教科書を見ずに解くこと自体が「思い出す練習」になります。

  • 社会: 用語を見るだけでなく、その背景や理由を自力で説明する

  • 英語: 日本語や意味を手がかりに、英単語・熟語・重要表現を自力で書く

  • 理科: 実験の結果だけでなく、「なぜそうなるのか」を説明する

  • 数学: 間違えた問題を、答えや解説を隠した状態でもう一度自力で解き直す

ただ用語を書き写すのではなく、答えを隠した状態で、自分の頭から正しい答えを取り出す練習を繰り返すことが重要です。

5. まとめ:テスト前は「まとめる」から「自力で答える」へ

テスト勉強において大切なのは、作業の美しさではなく「自力で答えを出せるか」の確認です。「まとめるだけ」の学習から卒業し、本を閉じて思い出す習慣をぜひ取り入れてみてください。

なお、今回は「どのように復習するか」に焦点を当てましたが、ワークを「いつ、どのくらいの間隔で繰り返すか」も学習効果を大きく左右します。「ワークは何周すればよいのか」「同じ日に何回も解くのと、日を空けて繰り返すのでは何が違うのか」といった疑問については、次の記事で学習科学の研究をもとに詳しく取り上げます。

【参考文献】

  • Karpicke, J. D., & Blunt, J. R. (2011). Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping. Science, 331, 772–775.

  • Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4–58.